肉食への制限
多くの文化では、宗教的、政治的、衛生的な必要から肉食に対して制限・制約するという食のタブーがある。多くの文化の中で、ユダヤ教、キリスト教やイスラム教等のアブラハム系の宗教の場合は、特に著しい。
[編集] 宗教による制限
[編集] 仏教
仏教では肉食を“にくじき”と読む。原始仏教では、比丘(僧侶)は糧(かて)をその日ごとで乞食(こつじき)することにより食を得るが肉を供養されることも多かった。南方の上座部仏教ではこの慣習が今も行われている。
釈迦が亡くなった原因は食中り、もしくは食中毒による下痢であるが、それはキノコ料理という説もあるが豚肉料理だったという説も根強い(胃癌という説もある)。このことから供養されたものはすべて有難く頂くという観念により、肉食そのものを制限していなかった。ただし肉食は結局は殺生戒に触れるため、殺す所を見なかった肉、供養のために殺されたと聞かなかった肉、自分の為に殺された疑いの無い肉という“三種浄肉”であれば食しても問題はないとされた。その後、命終した鳥や獣の肉、鳥の食べ残した肉を加えて“五趣浄肉”、さらに“九種浄肉”であれば、肉食しても構わないという制限になった。
しかし北方に伝来した大乗仏教では、慈悲心に基づいて、すべての肉食を制限するという傾向が次第に強まり、中国では食物を葷(くん=肉や臭い野菜)と精進料理に分け、はっきり禁制するようになった。したがって日本もこの影響を受けた。とはいえ、大乗仏教も上座部と同じく“悟りを得る”というのが最大の目的である。そのため、そのような細かい制戒に捉われるのは、かえって悟りを妨げると考える僧侶も現れた。たとえば一休は周囲の仏教界に反発心の表れで肉食や飲酒した風狂な例として有名である。また、特に親鸞は、戒律を守る人間が善人で救われるのであれば、戒律を守ろうとしても守れない悪人は救われない、悪人こそ救われるべきではないか、という疑問から自らを非僧非俗と呼んで、末法に戒律は不必要という立場から、ついに“肉食妻帯”を行った。日蓮も末法無戒から肉食を禁制していない。
親鸞の遺訓から浄土真宗ではこれが常となったが、他宗派では明治時代に至るまで、“寺院法度”により原則的には肉食妻帯の禁制を守ったが、明治政府が仏教放置政策を打ち出し、その「勝手たるべし」という語句を逆手にとって、なし崩し的に肉食妻帯することを事実上容認するようになった。しかしながら、一定の厳しい修行期間に修行僧は精進料理のみで、一切肉食することはないという宗派によってはある。
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